
2月下旬に日経平均株価がバブル期以来34年ぶりに史上最高値を更新した。さらに3月初旬には史上初めて4万円台の大台に乗せた。日本経済の本格的回復を反映した動きであれば素晴らしいが、株主重視が株価を支え、働き手への分配が不十分であれば問題である。好調な企業業績の成果を幅広く働き手に行き渡らせるべきであろう。
株価の高値更新とは裏腹に、日本の名目GDP(国内総生産)がドイツに抜かれて、世界4位に落ち込んだ。かつて日本は高度経済成長の結果として1968年に当時の西ドイツをGNP(国民総生産)で上回り、米国に次ぐ、世界2位の経済大国になった。ところが21世紀に入ってグローバル経済の進展に伴って、中国が目覚ましい経済成長を遂げ、2010年に日本を抜いて2位になり、日本は3位に転落した。昨年にはドイツに抜かれて4位になり、そう遠からずに経済成長が著しいインドに追い抜かれて5位になることが確実と予測されている。
より良い暮らしのためのより良い政策の構築に取り組むOECD(経済協力開発機構)は1961年に設立された国際機関で、豊かさを示す世界共通の指標であるGDPが生活実感を反映していないという批判を受けて、新指標の策定に取り組み、最終的に「ベターライフ指標(BLI)」を打ち出した。
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